+ 英文読解:第1回(担当:宮村周志)

今回は、「1パラグラフ単位のテーマの捉え方」ということに焦点を合わせて、SFCの過去問を見ていきたいと思います。

1つのパラグラフのテーマのつかみ方といっても様々な方法論があると思いますが、ここでは「内容真偽問題の問いからヒントを得て、それを利用する」という視点からアプローチしてみたいと思います。それでは、まず以下の1パラグラフを読んで、このパラグラフにおけるテーマ(主題)は何かを自分で考えて、20文字以内にまとめてください。今回は「問いからヒントを得る」という視点から説明していきたいと思っているので、内容真偽問題の問いも付けさせていただきました。

¶1 The Roman poet Catullus lamented the death of a pet sparrow, probably a house sparrow or a tree sparrow. In either case, a present-day Catullus would have ample cause for lamentation. Both kinds of sparrows are among the many species of birds, insects and plants that have declined dramatically in Northern Europe during the past 25 years.

[A]
In the 1st paragraph, the author refers to the Roman poet Catullus in order to
[B]
In the 5th paragraph, the author refers to the "second Silent Spring" to draw a comparison between
[C]
According to the figure in the 6th paragraph, which of the following is correct ?
[C]
In the 7th paragraph, the term "green revolution" refers to
[D]
In the 1st paragraph, the author refers to the Roman poet Catullus in order to
[E]
Which of the following best summarizes the evaluation of the three schemes for biodiversity mentioned in the 8th paragraph ?
[F]
According to the 9th paragraph, which of the following is an example of a beneficial "heterogeneous landscape" ?
[G]
In the 10th paragraph, the Eastern European model of agriculture is compared with the North American model, in order to illustrate
[H]
Which of the following is true about farmland birds according to the information given in this article ?
[I]
In this article, what does the term "second Silent Spring" mean ?
[J]
Which of the following will make the most suitable title for this article ?

('01・環境情報学部)| 問題を新しいウィンドウで開く

 パラグラフのテーマを上手くつかむことはできたでしょうか。では、ここから文章の解説に入っていきたいと思いますが、その前に「問いを先に読むことの有効性」について少し説明してみたいと思います。

○あらかじめ情報を与えられると理解度が高まる

 みなさんは、もし自分がSFCの入試問題を作成する出題者側だったとしたら、1000語を超えるような超長文に対して、どのような部分に問題を作るでしょうか。おそらく、特に大切だと思う部分や、受験生に理解しておいて欲しい部分に問題を設定するのではないだろうかと思います。このようなことから考えると、大学側が受験生に対して求めている能力は問題に現れていると推測することができると思います。従って、「SFC側が重要だとみなしている部分(=重要な部分)」が「問題」であるとするならば、その逆を考えると、「問題」は「重要な部分」であると言うことができます。「重要な部分」というのは、「本文の内容を理解する上でポイントとなっている部分」であることがSFCの場合ほとんどですので、そのようなことから、あらかじめ問題を読み、本文中で読みとらなくてはならない「重要な部分」を確認しておけば、それをガイドラインとして冷静に効率の良い読解をすることができるようになります。

 さらに、それだけではなく、SFCの内容真偽問題10問は「本文を理解する上でポイントとなっている部分」の集合なのですから、それらの「問題」を通読して、「本文のポイント」同士を連絡させ合うことで、本文の全体像をある程度予測できることがあります。では、本文の全体像を予測することの利点とは何でしょうか。それは、「人間が物事を理解するプロセス」に関係があると私は思っています。物事を理解するプロセスには、「全体をつかんでから細かいところをみていく」方法と、「細かいところを積み上げていって全体を理解していく」方法の2通りがありますよね。認知心理学の分野では、前者は「トップダウン方式」、後者は「ボトムアップ方式」と呼ばれるそうなのですが、物事を理解するスピードは「トップダウン方式」のほうが「ボトムアップ方式」よりも圧倒的に早いと言われています。つまり、「問題」を通読して本文の全体像をあらかじめ予測できれば、トップダウン方式的なアプローチを使って効果的な読解を行えるわけです。

 長くなってしまいましたが、「問題」を先に読むということは「重要な部分」をあらかじめ把握できるばかりでなく、本文の全体像をも予測できることがある、ということです。では、そのことを意識しながら、実際に文章を見ていきます。解説の順序としては、まず内容真偽問題の問いからヒントが得られないかを検討して、その後、得られたヒントを活かしてパラグラフのテーマをつかむ事を考えていきたいと思います。

○文章のテーマをつかむために、問題を通読して読解のヒントを得る

内容真偽の問いを通読して、問いから分かる情報を検討してみます。さらに、問いで得られた情報から推測できる事柄がある場合は、「→」で示すことにします。ここで、少し注意しておいて欲しい事なのですが、「→」で示す「推測できる事柄」の部分はあくまでも推測の域にとどまるものであって、断定しているわけではありません。そのため、もし本文を読み進める中で「推測できる事柄」が間違っていた場合は、本文の内容に合わせて推測を訂正する柔軟性が必要だということです。

では、問いをみていきましょう。今回扱っているのは第1パラグラフだけなので、それに直接対応している問いは[ A ]のみなのですが、「全体像の予測」という観点から、他の問いについても簡単にみてみたいと思います。

[ A ] In the 1st paragraph, the author refers to the Roman poet Catullus in order to
「第1パラグラフで著者がローマ時代の詩人カトゥルスに触れているのは」

(問題から分かる情報)

  • 第1パラグラフでは、ローマ時代の詩人カトゥルスについて言及がある
  • 「in order to」とあることから、カトゥルスへの言及は何らかの目的を持ったもの

[ A ]は、今回扱っている第1パラグラフに直接対応している問いなので、もう少し詳しく問いの選択肢まで検討してみます。

  • show that understanding ancient literature is important for science.
  • highlight that ancient Roman had environmental concerns.
  • highlight the decline of small farmland birds in contemporary Northern Europe.
  • show that two species of sparrows have been expelled from the British countryside.

 選択肢をざっと見てみると、1〜4の選択肢はどれも始めに来ている動詞が「show(示す、証明する)」か「highlight(目立たせる、強調する)」のいずれかだということが分かります。このことから、「カトゥルスへの言及の目的」は「『何か』を示したり、強調したりすること」であるということまで分かります。つまり、カトゥルスの話自体は何かを強調するための具体例にすぎないと推測することができますし、また『何か』に当たる部分が第1パラグラフのテーマ(主題)になっているのではないかと考えることができます。

 ここで、問題を検討する際の着眼点についてですが、私が考える着眼点は、問題を本文を読まなくても「確実な情報として獲得できる部分」と「本文を読むまではあいまいな部分が残る情報」の2つに分けて整理するということだと思います。例えば、上の[ A ]で考えてみると、「In the 1st paragraph, the author refers to the Roman poet Catullus」までが「確実な情報として獲得できる部分」で、「in order to」が「本文を読むまではあいまいな部分が残る情報」に相当します。このように分けて整理をして、「確実な情報として獲得できる部分」を明確にしておくと、問題同士の関連性を見つけやすくなります。では、[ B ]以降も簡単にみてみましょう。

[ B ] In the 5th paragraph, the author refers to the "second Silent Spring" to draw a comparison between
「第5パラグラフで著者が『第2の「沈黙の春」』に触れたのは…を比較するため」

(問題から分かる情報)

  • 第5パラグラフでは、『第2の「沈黙の春」』について言及がある
  • その言及は、何かを比較するためのもの
  • "second Silent Spring"はこの文章における "Key Word"の一つ

 問題文において、""(引用符)によって区切られている語や文は本文中におけるKey WordやKey Sentenceを表していることが非常に多いです。1000語を超える英文の中から特定の語や文だけを敢えて引用して問題にしているということから考えても、その語や文が重要だということが推測できると思います。

[ C ] According to the figure in the 6th paragraph, which of the following is correct ?
「第6パラグラフの数値によれば、次の文で正しいのはどれか」

(問題から分かる情報)

  • 第6パラグラフでは、何かについての数値的なデータが示されている

[ D ] In the 7th paragraph, the term "green revolution"refers to
「第7パラグラフの『緑の革命』という用語が指しているのは」

(問題から分かる情報)

  • 第7パラグラフでは『緑の革命』について言及がある
    →「緑の」という言葉から、環境問題に関係のある用語では?
  • "green revolution"はこの文章における"Key Word"の一つ

[ E ] Which of the following best summarizes the evaluation of the three schemes for biodiversity mentioned in the 8th paragraph ?
「第8パラグラフで触れた種の多様性のための3つの事業の評価を最も適切に要約している文は次のどれか」

(問題から分かる情報)

  • 第8パラグラフでは、種の多様性のための3つの事業に対しての評価が述べられている
    →「種の多様性」という言葉から、おそらく環境問題に関連する内容があるのでは?

[ F ] According to the 9th paragraph, which of the following is an example of a beneficial "heterogeneous landscape" ?
「第9パラグラフによれば『異種のものが混ざり合った景観』の有益な例は次のうちのどれか」

(問題から分かる情報)

  • 第9パラグラフでは、『異種のものが混ざり合った景観』について言及がある
    →『異種のものが混ざり合った景観』という言葉は、意味から考えると、[ E ]にあった「種の多様性」という言葉になんとなく関連性がありそう
  • また、『異種のものが混ざり合った景観』に関する実例も述べられている
  • "heterogeneous landscape"はこの文章における"Key Word"の一つ
    →「hetero-」という接頭辞は「他の、異なった」という意味を表す→やはり[ E ]のbiodiversity「種の多様性」と関連性があるのでは?
    →「landscape(景色、風景、眺め)」という単語は、環境問題に関する内容を論じる際に使われることが多い

[ G ] In the 10th paragraph, the Eastern European model of agriculture is compared with the North American model, in order to illustrate
「第10パラグラフで、農業の東ヨーロッパモデルが北アメリカモデルと比較されているのは…を対照して比較するため」

(問題から分かる情報)

  • 第10パラグラフでは、東ヨーロッパモデルと北アメリカモデルが比較されている
  • 本文中には農業に関する内容がある
    →環境問題の中でも、特に農業に関するものについて述べられているのでは?

[ H ] Which of the following is true about farmland birds according to the information given in this article ?
「この論文で与えられた情報によれば、農業地に住む鳥たちについて正しいものは次のうちどれか」

(問題から分かる情報)

  • 本文中には農業地に住む鳥たちについての内容がある

[ I ] In this article, what does the term "second Silent Spring" mean ?
「この論文では『第2の「沈黙の春」』という用語は何を意味しているか」

(問題から分かる情報)

  • "second Silent Spring"はこの文章における"Key Word"の一つ
    →"second Silent Spring"は[ B ]と合わせると問題中に2回出てきている→それだけ重要度の高い用語のはず
    →[ A ]〜[ H ]で得た情報から考えると、"second Silent Spring"はおそらく、環境問題や農業に関係のある用語として使われているのでは?

[ J ] Which of the following will make the most suitable title for this article ?
「次のうちどれがこの論文に対する最も適切なタイトルとなるか」

10個の問いを簡単に通読してきたわけですが、ここで10個の問いから得られた情報や推測した事柄をまとめて図示してみます。ここでは、見やすくするために放射状に情報を図示してみました。また、情報同士の関係を分かりやすくするために、「本文から読み取るべきポイント」はオレンジ、キーワードは赤、関連性があると思われる部分はピンクで表してあります。

今回の最も大きなテーマは「1パラグラフ単位のテーマの捉え方」ということで、文章自体は第1パラグラフのみを扱っているのですが、上の図で表したように本文の全体像を概観して、広い視点から第1パラグラフを見てみると、第1パラグラフで述べられるであろうローマの詩人Catullusの話は、本文においてほんの一部分でしかないということやCatullusの話は、後に来る例えば「種の多様性」や『第2の「沈黙の春」』の話などになんらかの関連性があるものだろう、ということがはっきりと分かると思います。

それでは、問いを通読することで分かったことを踏まえた上で、第1パラグラフのテーマ(主題)は何かということを考えていきましょう。

問いから得たヒントを活かして、本文のテーマをつかむ

問いを通読することで得られたヒントを利用して、第1パラグラフのテーマをつかむことを考えていきたいと思います。まず、第1パラグラフに関して、問いから得られたヒントをもう1度確認しておきます。

(第1パラグラフに関して、問いから得られたヒント)

  • 第1パラグラフでは、ローマの詩人カトゥルスについて言及がある
  • カトゥルスへの言及は何らかの目的を持ったもの
  • その目的とは、『何か』を示したり、強調したりすることである
  • つまり、カトゥルスの話自体は『何か』を強調するための具体例で、第1パラグラフのテーマは『何か』に当たる部分のはず
  • 『何か』に当たる部分(=テーマ)には、おそらく環境問題や農業に何らかの関連性がある内容が来るはず

それでは、これらのヒントを踏まえた上で、「テーマをつかむ」ということを意識しながら実際に第1パラグラフを読んでみたいと思います。

¶1 The Roman poet Catullus lamented the death of a pet sparrow, probably a house sparrow or a tree sparrow. In either case, a present-day Catullus would have ample cause for lamentation. Both kinds of sparrows are among the many species of birds, insects and plants that have declined dramatically in Northern Europe during the past 25 years.

(第1文)The Roman poet Catullus lamented the death of a pet sparrow, probably a house sparrow or a tree sparrow.
ローマの詩人カトゥルスは、ペットのスズメの死を嘆いた。それは、おそらくイエスズメかスズメであろうと思われる。」

 ローマの詩人カトゥルスの話が出てくるということは、問いの情報から既に確認済みでしたね。この第1文では、カトゥルスの話というのが、具体的にはペットのスズメに関するものだということが明らかになりました。このスズメの話は、おそらくテーマを強調するための具体例となっているはずです。そのようなことも考えながら、第2文をみてみます。

(第2文)In either case, a present-day Catullus would have ample cause for lamentation.
「いずれにせよ、現代のカトゥルスならば嘆くのに十分な理由があるだろう。」

 第2文を見ると、「カトゥルスが嘆くのに十分な理由」とはどのようなものなのか、ということが第3文で述べられるのだろうということが推測できます。ここで、カトゥルスの話というのは、「十分な理由」を強調するために使われているということに気づきます。つまり、第3文で述べられるであろう「十分な理由」というのが、このパラグラフのテーマとなっているのではないか、と想像することができるわけです。では、第3文も見てみましょう。

(第3文)Both kinds of sparrows are among the many species of birds, insects and plants that have declined dramatically in Northern Europe during the past 25 years.
「どちらの種類のスズメも、ここ25年の間に北ヨーロッパにおいて著しく減少している、多くの鳥や虫や植物の種のうちの1つなのである。」

 第2文で触れていた「十分な理由」について述べられていますよね。問いでも確認したように、カトゥルスの話自体は『何か』を強調するための実例にすぎないのですから、『何か』に当たる部分について述べられているこの第3文こそが、このパラグラフのテーマが現れている部分だと言えます。また、文章の内容を見てみると、「多くの鳥や虫や植物の種の減少」という内容から、やはり今後の展開において環境問題や農業に何らかの形で関連していきそうですよね。

 では、最後に今回扱った第1パラグラフのテーマ(主題)を端的にまとめてみたいと思います。テーマが現れていたのは第3文でしたので、その内容を中心にまとめると以下のようなものになるのではないかと思います。

「今日の北欧における、生物種の激減。(17文字)」

どうでしたか。今回は「内容真偽問題の問いからヒントを得て、それを利用する」という視点から説明させていただいたわけですが、先に問いを通読してヒントを整理しておいたことによって、読み取るべき重要なポイントが明らかになり、パラグラフのテーマをつかみやすかったのではないでしょうか。もし、問いを利用することの有効性を少しでも実感していただけたとしたら嬉しいです。

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