+ 文法問題:第1回(担当:西尾仁志)
<仮定法の出題例を取り上げてみます>
仮定法とは、「・・・だったらなぁ。」という筆者の願望を述べたものです。したがって、今は実現していない内容(=“非現実”)が述べられています。
仮定法は、筆者が現状への不満を述べるときに使うことがあるので、主張に関連する内容がくる場合があります。その際に、気をつけることは、その内容が“非現実”の内容であるということです。
- [21]
- The last sentence of the 1st paragraph suggests that
- 1.
- when the times are turbulent, speed is an economic weapon.
- 2.
- as we live longer than our ancestors, our wisdom should be more competitive.
- 3.
- we need to have a fuller and broader view of time.
- 4.
- we need to promote greater efficiency in order to save time.
出典:2003年慶應義塾大学環境情報学部@[21]
[本文1パラ]
In this turbulent world, we never seem to have enough time ; and yet there has never been so much time available to us. We live longer, use less time to make and do things as we become more efficient, and should, therefore, have more time to spare. We have, however, made this strange commodity into a competitive weapon, valuing speed over leisure. If we were truly wise, wouldn’t we take the price tag off time, and give ourselves time to stand and stare?
[訳文]
この騒々しい世の中で、私たちは決して十分な時間を持っているようには思えない。だが、私たちほど多くの時間を利用できたことはこれまでにない。効率が良くなるにつれて、寿命が延び、ものを作ったりやることをするために使う時間が減ることで、余分な時間が増えるはずである。しかし私たちは、余暇よりもスピードに価値を置き、この慣れない便利なものを競争のための武器にしてしまっている。もし私たちが(実際に)ホントに賢いとしたら、時間からプライスタグを外し、立ち止まり見つめるための時間を自分自身に与えるのではないか!?
[問いの趣旨]
[21]の問題の趣旨は「1パラ最終文との同意表現を選択肢から選びなさい」ということです。ここで注意してほしいことは、問いに含まれているsuggest『暗示する、示唆する(暗にほのめかす)』です。ということは、直接的ではなく、“間接的に”同意表現が書いてあることがわかります。確かに、1パラ最終文を見ると、“仮定法”で暗示的に書いてあります。
[本文1パラ最終文の解釈(仮定法で書かれた“非現実”の内容に着目して…)]
筆者は、従属節において仮定法を使い「賢いとしたら」と、“現実ではないこと”を仮定しています。したがって、筆者は「私たちは実際には賢くはなく、愚かである」と言いたいのである。なぜなら、仮定法は“非現実”のことを言うときに使う文法だから、「私たちが賢い」ことは“非現実”の内容だからです。
主節では、修辞疑問文(反語)を使い、強調表現が使われています。修辞疑問文(反語)は、伝達しようとする内容が、肯定は否定に/否定は肯定になります。1パラ最終文の主節は、“not”がついているので、伝達したい内容は“肯定”になります。したがって、筆者の伝えようとしている主張は、「私たちは、時間からプライスタグを外し、立ち止まり見つめるための時間を自分自身に与えろ!」ということになります。
[解答 / 解説]
-3 |「私たちは、時間からプライスタグを外し、立ち止まり見つめるための時間を自分自身に与えろ!」という内容を選択肢から選びましょう。
<同じ年の問題からもうもう一問やってみましょう>
次は、文法チェックを用いて、空所補充問題を解いてみます。SFCの長文では、内容真偽問題と空所補充問題が1つの長文のなかに出てきます。したがって、空所補充問題をいかにスムーズに解き、内容真偽問題に集中して解けるかが大切になってきます。その1つの方法として、空所補充問題を文法チェックですばやく解く方法があります。そうすることで、空所補充問題が出てくる文の意味を考える前に、答えを出せます。そうした文法チェックで答えるが出せてしまう問題は、なるべくその方法で解いていきましょう。
- [本文2パラ第1文]
- Organizations are now re-thinking time for their own advantage, [1] (1. whenever 2. as if3. inasmuch as) they had finally recognized that there are actually 168 hours in the week, not just 40.
出典:2003年慶應義塾大学環境情報学部@[1]
[訳文]
今や企業は、1週間にわずか40時間ではなく、実際には168時間あることがようやくわかったかのように、自らの利益のために時間を考え直している。
[解答/解説]
-2 | 時制を見ると、主節が現在形・従属節が過去完了となっている。仮定法は、今のことは過去形で書き/過去のことは過去完了形で書くというように、主節と従属節の時制が一致しません。[1]を見てみると、主節の時制が現在形なのに対して、従属節の時制が過去完了形なので、時制の不一致が生じている。そうした文法チェックより、解答は選択肢2.の仮定法であるas ifになる。
[解釈(仮定法で書かれた“非現実”の内容に着目して…)]
[1]が設定されている2パラグラフ第1文目は、「実際には168時間あるのだけど、本当はまだわかっていない(=まだ40時間しかないと思っている)。」と筆者は述べています。なぜなら、as if以下の訳文の内容(=1週間にわずか40時間ではなく、実際には168時間あることがようやくわかったかのように)は“非現実”のことだからです。
これは[21]の内容と深く関わっています。[21](=1パラグラフ最終文)では「時間について立ち止まって考えろ」と提案しています。それに関連し、[1](=2パラグラフ第1文)では、時間を見つめていないことを、数値を挙げて説明しています。具体的には、「1週間にわずか40時間ではなく、実際には168時間あることをわかっていない」ということを仮定法を使って記述してあります。そして、[1]が設定されている2パラ第1文目以降には、168時間あると知っているはずなのに、実際には40時間しかないと思って行動している(=時間を見つめていない)具体例が述べられています。
つまり、“非現実”の内容とは、[1]のようにrecognizeと字面に書いてあれば、筆者はnot recognizeであると思っているということです。[21]で言えば、were wiseと字面で書いてあるのなら、筆者はwere not wiseだと思っているということです。ポイントとしては、字面は“非現実”なので、伝達しようとする内容は字面の逆をイメージすることです。混乱しないように、筆者の思っていることを読み取れるようにしましょう。




