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入試問題講評 Archive

'07小論文講評[総合]

2007年度総合政策学部小論文講評

■問題文
資料1、資料2、資料3は、「議論の本位」とは何を意味するのかについて述べた文章です。また、資料4、資料5、資料6は「少子化」(A)について、資料7、資料8、資料9は「格差社会」(B)について、それぞれ3人の論者が自分の主張を披瀝した文章です。これらの文章を読んで、次の問いに答えなさい。


※解説
少子化と格差社会は、近年の日本社会における重要な課題となり、受験生といえどもある程度は知識のある分野だと思われる。しかし、単純に自身の持っている知識を振りかざすのではなく、まず「議論の本位」というテーマについて3つの立場があり、また、AB両テーマについてもそれぞれ3つずつの立場があることを踏まえておくことが求められる。
問題文をしっかりと把握しておくことにより、資料を読み解くにあたっての有力なガイドラインが得られたであろう点は、例年どおりである。


■問題(1)
まず「少子化」(A)、あるいは「格差社会」(B)、どちらかのテーマを選択し、選択したテーマの記号(AあるいはB)を、解答欄冒頭に与えられたカッコ内に記しなさい。
次に、選択したテーマを論ずる3つの文章(「少子化」(A)を選択した場合には資料4、資料5、資料6、「格差社会」(B)を選択した場合には、資料7、資料8、資料9)の内容を分析し、当該テーマを論ずる際に定めるべき「議論の本位」は何か、また「議論の本位」を定めたうえで(あるいは定めるために)、検討すべき主たる「議論の箇条」は何か、あなたの考えを1000字以内で記しなさい。


※解説
まず、少子化と格差社会についてどちらのテーマを選択することも自由であるため、自分にとって馴染みのあるテーマを選んでしまい、選択しなかったテーマに関する資料は一切読み込まないことが望ましいだろう。特に、今回から合計1500文字を2時間で解かなくてはいけないため、資料を全部読み解くよりも、大胆に取捨選択を行う勇気があると、貴重な時間を有効に使うこともできる(これで読むべき資料は9つから6つに、実に3分の2に減少する。)。

次に、本問の主題だが、少子化または格差社会における主要な「議論の本位」と主たる「議論の箇条」を、なぜそれが議論されなければならないかを踏まえながら展開することが求められる。
ここで、問題文の分析が資料の読解にあたって大きなヒントとなる。すなわち、「当該テーマを論ずる際に定めるべき」との文言から、「議論の本位」とは、議論をするにあたり必要とされる中核であることが読みとれる。次に、「議論の本位を定めたうえで(中略)検討すべき主たる」との文言から、議論の箇条とは、議論するにあたって触れられる細目であることがわかる(箇条という文言からも、主たるという指定からも、複数の存在が読み取れるだろう)。また、ここから、「議論の本位」>「議論の箇条」という関係が読み取れるはずである。すなわち、「議論の本位」=総論(問題の本質、なぜ問題となるのか等)、「議論の箇条」=各論(具体的にどのような問題点が発生しているのか等)という位置付けとなる。訓練を積んだ受験生であれば、問1の文言を分析するだけで資料1~3の読解をほとんど不要とすることができるだろう(これで読解すべき資料が6つから3つに減少する。)。ちなみに資料1~3が全て福澤諭吉の「議論」論を扱っているのは慶應義塾大学なりのご愛嬌といったところだろう。
いずれにしても、「議論の本位(=問題の本質)」と「議論の箇条(=具体的な問題点)」について、考えやすいと思われるテーマをABより選んでから、資料の読み込みに入ると良い。(そして、それぞれの資料から、かかるテーマについてその「議論の本位」と「議論の箇条」は何かを読み解くことが求められ、それ以外の要素は一切捨て去ってもよい。)
また、「議論の箇条」は、各テーマにつき3つの見解が挙げられていることから、3つ挙げられていることが望ましいだろうとの予測もできる。


問題(2)
問1で考察した「議論の本位」と「議論の箇条」を踏まえ、選択したテーマを論ずる3つの文章のうち、どの文章の主張にあなたは賛成するか、(あるいはいずれの主張にも賛成しないか)、その理由を含め、500字以内で記しなさい。

なお「議論の箇条」を、「争点」あるいは「論点」と読みかえてもかまいません。


※解説
「どの文章の主張に賛成するか」という視点ではなく、まずは自身が問1であげた「議論の本位」と「議論の箇条」について、どのような見解を取るのかを論理的に考えて欲しい。その上で、自らの価値判断とその理由付けが、どの文章と整合的か(あるいは全てと整合的でないか)を検討すると良いだろう。
ただし、本問では字数が500文字と少なく限られているため、より実質的に考えるならば、どれかの文章に便乗しその文章を選ぶにあたっての理由を「箇条」と「本位」に分けて整理して展開することがもっとも簡単な方法となる。
むしろ、第4の見解をその理由を踏まえながら挙げつつ、他の3つの見解を批判することは、500字という制限の下ではかなり困難と言える。
いずれにしても、自身の価値判断や理由にもっとも近いと思われる見解を選択した上で、その見解を支持する理由を「議論の本位」と「議論の箇条」に整理して展開することが望ましいだろう。

'07小論文講評[環境]

2007年度環境情報学部小論文講評

■問題文
環境情報学部の教授になったつもりで、SFCで展開する新しい研究プロジェクトを提案してください。
資料1は、SFCホームページから抜粋したもので、SFCの理念と現在どのような研究プロジェクトが行われているかの一部を例として紹介しています。
提案するプロジェクトは、既にSFCに存在するプロジェクトの一部を分担するようなもの、あるいはまったく新規のものでもよいし、分野横断型のものや総合政策学部と連携したもの、あるいは他機関と連携して行うものでもかまいません。また理論的な基礎研究でも実践的な応用研究でもどちらでもかまいませんし、一人で行う研究でも、大人数のグループで行う研究でもかまいません。

※解説
この、問題文の前文から、自由なプロジェクト設定を望まれていることは間違いないが、新しい研究プロジェクトということで、既存の枠組みであれば+α(何らかの目新しさ)が必要といった具合に、既存のプロジェクトに対する付加性/先端性/先進性が付加されていることが望ましい。
もっとも、完全に新しい路を模索することは困難であるから、各々のプロジェクトについて、その新しさや魅力を自分なりに存分に展開していれば充分だろう。


■問題(1)
研究プロジェクトのタイトル。研究内容が推測できるような具体的な文言で35字以内。

※解説
ここで挙げたタイトルが本問における中核となる。すなわち、プロジェクトの実体を具体的かつ端的に表すことができれば充分であるが、概要を示すタイトルであることが必要条件となる。また、可能であればそのプロジェクトの趣旨(目的・意義)について触れられると良いだろう。

■問題(2)
研究期間(年)、研究費総額(円)および研究費申請先(SFC内部資金、○○企業、○○省、など)

※解説
ここと次の(3)はプロジェクトの詳細をより具体的かつ現実的に考察させるものである。
ただし、どのような研究にどれだけの年月や費用がかかるかについて妥当な数字を出すことは、受験生レベルでは困難なため、むしろ具体的考察をさせる材料の一つと思っておくと良いだろう。
また、研究費の申請先については、そのプロジェクトの位置付けとの関係でどこに求めるかが変わってくるだろう。特に、営利性の強いプロジェクトであれば申請先は企業となりやすく、公共性の強いものならば省庁や行政機関となりうる。この点は、プロジェクトの性格と申請先の性格について一定の考察が必要となる。


■問題(3)
プロジェクトの説明。背景・目的、手法・プロジェクトメンバーの人数・年次計画、期待される効果などについて、自由になるべく具体的に記載してください。枠内からはみ出さなければ原稿用紙の一部を図・イラストなどのために割いてもかまいません。提案するプロジェクトをSFCで実践することの意義・優位性を明確にしてください。

※解説
問題文には字数が明示されていないが、原稿用紙は630字詰であった。もっとも、緩やかな制限があるものの、用紙の使い方は自由とされているため、文字による表現だけでなく、表やグラフ、4コマ漫画などの手段に訴えることもできただろう。ここはぜひ、頭を柔軟にして自分なりに自由に展開していただきたい。
なお、本問では、プロジェクトの内容を具体的に描くことが求められる。また、その描写にあたって、当該プロジェクトのSFCにおける意義・優位性について明示することが条件とされている。


■問題(4)
このプロジェクトに環境情報学部生を参加させる場合、教授であるあなたはその学生にSFCでどんな勉強をすることを勧めますか(資料2)。それはなぜですか。

※解説
自身のプロジェクトを支える上でのバックグラウンド知識・経験について問われている。どのような勉強がどのようにしてかかるプロジェクトに役立つかを論理的に考えていけば案外簡単に構成できるだろう。

全体的解説:
本問は、何らかのプロジェクトを自分で立ち上げるという、一見すると発想力のみを頼りに書かなければならないようにも思える問題ではあるが、何を書いていくべきかが明らかにされているので、比較的取り組みやすかったと言える。
3年連続で発想力がひとつの鍵となる問題が出題されているが、資料の目的的読解と、日常で感じる疑問などを組み合わせることで様々な解答を構成することができただろう。
また、SFCのカリキュラム改訂を受けての出題であったため、SFCを第一志望(ないし高順位志望)として情報を収集し、対策を立ててきた受験生にとっては比較的解答しやすかったと思われるが、逆にSFCを滑り止めに考えていた受験生にとってはかなり解きにくかっただろう。AO入試にも近いと思われることからも、このことは明らかである。

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